from the series Heroes of the Taiheiki (Taiheiki eiyû den) / Kuniyoshi
太平記英雄傳 登喜十郎左エ門光隣 歌川国芳 1848年頃
"太平記英雄傳 登喜十郎左エ門光隣 道秀の一族にして丹州福地山の城主たり淀堤の合戦竟(つひ)に敵方の勝利となり軍散じて後久吉首実検をせんとするに終日の戦ひに討死したる両陣の尸(かばね)塁々として丘のごとくなれバ本陣の辺なる死骸を先取捨べしとて雑兵等立かかり傍へ引退る中に怪(あやしむ)べし蠢(うごめく)者あつて忽むづくと起上り短刀を閃し久吉を目がけ飛かゝる側に在たる加田切捨作且元主君の大事と駈塞(かけふさがり)鎗を絞て突んとなす光隣心苛て持たる短刀投捨つゝ太刀抜かざし大音上登喜十郎左エ門光隣此所に伏て敵将を待り首を渡せと呼張て勢猛く切てかゝるを加田切一世の勇を震ひ人交もせず戦へバ面々に堅唾を呑人屏風を立て見物なすうち光隣が運や極りけん加田切大喝して突出す鎗に肩口深く串(つらぬ)かれ漂ひながらも手練の勇者捨作が鎗を片手なぐりに切伏しが初の痛手に刀法乱れ竟に加田切が為に陣没なしぬ遖(あつはれ)勇々しき豪傑とぞいひつべし 一家略傳史 柳下亭種員記"
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