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2012年10月8日月曜日

原子力規制委 田中委員長 インタビュー

原子力規制委 田中委員長 インタビュー 再稼働手続き白紙 ストレステスト採用せず 「新基準」10ヶ月以内に 従来プロセスと決別 福島民報2012年9月25日2面

“ 原子力規制委員会の田中俊一委員長(福島市出身)が二十四日、共同通信のインタビューに応じ、再稼働に向けた原発の安全性の判断に関し「規制委の判断基準として安全評価(ストレステスト)を採用しない」と述べ、安全評価の結果は審査せず、今後十ヶ月以内に定める新たな安全基準に基づいて判断する方針を示した。”

福島第一、安定と言えない 一問一答

“ 原子力規制委員会の田中俊一委員長インタビューの一問一答は次の通り。

―今後定める原発の安全基準の課題は。

 「大飯原発の再稼働で使われた暫定基準がまったくだめではないが、東京電力福島第一原発事故や各事故調査委員会の報告を踏まえ、きちんと見直す。一番気にしているのは断層の問題。大飯は来月にも私たちの目で見て判断したい。防災計画がきちんとできていないと地元は原発の稼働に納得できないだろう」

―地震時に拠点となる免震棟の整備は時間がかかる。

 「再稼働に絶対必要な条件と、これは何年以内に設置しなさいという仕分けは出てくると思う」

―電力各社がまとめた安全評価(ストレステスト)の扱いは。

 「われわれの判断基準として採用はしないつもり。提出済みであっても規制委として良しあしを判断するつもりはない。それらを包含した形で安全基準をつくる」

―二次評価の扱いは。

 「安全性を向上させるためなら、電力会社が自主的にすればいい。大いにやってほしい」

―旧原子力安全委員会が示した、原発から三十キロ圏内を防災重点地域とする考え方は。

 「積極的に変える理由はない。ただ福島の事故を踏まえ、情報がちゃんと伝わっていないとか、病院の人が動けなくなるとか、子どもが不必要な被ばくをしたとか課題がいっぱいある。指針や計画は大急ぎでつくる」

―福島の緊急事態線源の解除は。

 「第一原発は安定しているとは言い切れない。使用済み燃料を取り出すまでは難しい。ただ首相が判断することだ」

―従来の規制機関の審査は長期化することが多かった。

 「規制委の議論は、必要あれば『徹夜ででもやって』と言うつもり。急ぐものは急ぐのだから。議論を尽くせるようにしたい。大飯の断層調査の結論もできるだけ早く出す」”

「最も厳しい規制目指す」田中氏 海外記者向けに講演

“ 田中俊一委員長は二十四日、東京都内で海外メディア向けに講演し「日本の原子力規制を世界で最も厳しいレベルにすることを目指す」と決意を述べた。記者からは「以前の経済産業省原子力安全・保安院と同じスタッフで、どう安全確保ができるのか」などと、実現性への厳しい指摘が相次いだ。
 田中氏は「個人の思いを反映できなかった制度の問題。(職員の)意気込み、気構えを大切にすれば十分にその疑問に答えられる」との認識を示した。
 また「大惨事を起こした東京電力は原発から撤退すべきか」との問いには「規制委として判断することはできない。今後、いろいろな議論の中でそういうケースはあるかもしれないが、今、要求することは考えていない」と述べた。
 政府による二〇三〇年代の原発ゼロ方針と使用済み核燃料再処理の継続が矛盾しているとの指摘には「個人的に考えはあるが、コメントは差し控えたい」とした。”


2012年9月26日水曜日

「廃炉、防災が最優先」田中委員長一問一答

「廃炉、防災が最優先」田中委員長一問一答 福島民報2012年9月20日2面

“ 原子力規制委員会の田中俊一委員長が十九日、就任記者会見を開いた。主な内容は次の通り。

 ―喫緊の課題は。

 「優先課題は三つ。東京電力福島第一原発の片付け(廃炉)をいかに安全に進めるか。事故を起こした原子力施設の防災体制をどうするか。低線量とはいえ住民が住んでいるのでその対応。これらが最優先だ」

 ―原発の再稼働基準は。

 「(これまで条件としていた)ステレステストや暫定基準にとらわれず、新基準で見直す。年内の新基準作成は非常に難しい」

 ―関西電力大飯原発3、4号機の再稼働では安全評価(ストレステスト)が条件になった。

 「ストレステストは法的に決められたプロセスではなく政治的な方策だ」

 ―原則運転四十年について。

 「四十年は技術の寿命としてそこそこの長さだ。四十年前の炉は現在の基準から見て、必ずしも十分ではない」

 ―二十年の運転延長は。

 「相当困難ではないか。(最新の科学的知識の適用を既存原発義務付ける)バックフィットが非常に重要になる」

 ―既に四十年を超えている日本原子力発電敦賀1号機など三基の扱いは。

 「規制の在り方はこれから議論する。予断を持って申し上げられない」

 ―原発の新増設について経済産業省との整合性は。

 「今後とも経産省との整合性に配慮するつもりはない」”

原子力規制委員会初代委員長に就任 田中俊一氏 福島民報2012年9月20日2面

“ 「最も重要なのは信頼回復。原点は福島にある」。東京電力福島第一原発事故で原子力行政への信頼は失墜した。未曽有の事故収束はまだこれからだ。規制委員会の発足式では「道筋は並々ならぬ厳しさがある」と訓示、気を引き締めた。
 事故直後の昨年三月末、「原子力の平和利用を進めてきた者として国民に深く陳謝する」と声明を出した専門家十六人の一人。本県などの除染アドバイザーを務め、現地に通った。「反省を行動に移した数少ない人物」と政府は評価したが、批判を恐れて国会同意は先送りしたまま、新組織のかじ取りを委ねた。
 原子力開発が夢の未来につながると思われていた時代、東北大で原子力を学んだ。日本原子力研究所(現・日本原子力研究開発機構)で長く勤務。日本原子力学会会長、原子力委員会委員長代理などの要職を歴任した。
 一九九九年に茨城県東海村で起きた核燃料加工工場の臨界事故では、現場で対応に当たった。周囲は「行動力があって誠実な人柄」と評する。
 淡々と落ち着いた語り口。普段は硬い表情だが、地元福島の話題になると自然と笑みがこぼれる。ただ、“原子力ムラの住人”との指摘には「レッテル貼りは好きじゃない」と怒りを隠さない。
 就任直前に福島原発の事故現場を初めて見た。「言葉にならないものを感じた。(収束作業は)事業者任せでは駄目だ」。原発推進、脱原発双方の論争が続くが、真に有効な安全規制ができるのか、実行力が問われる。”





2012年9月15日土曜日

廃炉に安全基準設ける 田中原子力規制委員長候補が発言

廃炉に安全基準設ける 田中原子力規制委員長候補が発言 | 東日本大震災 | 福島民報 2012/09/14 11:19

“ 原子力の安全規制を一元的に担う原子力規制委員会の初代委員長候補の田中俊一氏(67)=福島市出身=は13日、福島民報社のインタビューに応じ、東京電力福島第一原発の廃炉作業について安全基準を設ける考えを明らかにした。破損燃料の取り出しや高濃度汚染水の管理など現在の保安規定で対応できない部分を補い、原子炉の安全性を確保する。一方、「福島の被災者の声を規制委員会の活動の原点にする」と誓った。”


原子力規制委員長候補 田中俊一氏(福島市出身)に聞く 福島民報2012年9月14日3面

稼働から40年経過した原発の運転 安全的には厳しい

規制庁の専門性向上 幅広い分野から人材活用


―除染アドバイザーを務めた出身地の本県への思いも含め、就任の抱負は。

 「県内での除染を通じて聞いた被災者の声を規制委の活動の原点としたい。本県の今の状況が忘れられないよう、中央に発信するメッセンジャーとしての役割も担いたい」

―国会の所信聴取で、運転から四十年超の原発は原則廃炉とする政府方針を厳格に適用する考えを示した。

 「原発が四十年超えて稼働できるかは非常に厳しい。超えるとしてもハードルが高いと思う。具体的にどのようなハードルになるのかはこれからの議論。政策的な視点からの議論もあるようだが、それは規制委として関与することではない」

―原子炉に精通しているのはメーカー関係者との指摘がある。一方、福島第一原発の事故は電機系統の事故だったとの見方もある。幅広い理系の人材を安全規制に巻き込むべきではないか。

 「私も原子炉の専門家でないと言われたが、原子炉は総合技術。科学、放射能、医療までいろいろな分野の人材がいて成り立つ。規制機関としてどれだけ人材を集めることができるか分からないが、電力事業者が緊張するくらい高いレベルの規制庁をつくる」

―米国の原子力規制委員会(NRC)に比べ、日本の規制当局は権限が弱く体制が脆弱との指摘がある。米国型組織をどう評価し、どのような組織を目指すのか。

 「NRCも最初から独立した組織ではなかった。日本もまた今回独立するのをきっかけに、米国以上にきちっとした規制組織とする覚悟だ」

―福島第一原発事故については、政府、国会、民間の各調査委員会が検証したが、どう受け止めているか。

 「原子炉内部のことが分からないので不明な部分は残った。規制委としても事故原因を探るとともに将来への教訓を引き出したい」

―県や伊達市の除染アドバイザーを務めるなど、事故直後から古里である本県のために活動してきた。

 「福島が元の姿に戻るまでには長い時間がかかるだろう。今まで除染など福島でできる限りの支援をしてきた。委員長に就くと直接とはいかなくなるが、引き続き応援していく」


たなか・しゅんいち 福島市出身。会津高卒、東北大工学部原子核工学科卒。昭和42年、日本原子力研究所に入所し、同研究所東海研究所長、同研究所副理事長などを歴任。平成17年に日本原子力研究開発機構特別顧問となり、原子力委員会委員長代理も務めた。

2012年7月23日月曜日

「福島の環境取り戻す」田中俊一氏

「福島の環境取り戻す」 原子力規制委員長候補の田中俊一氏 事故反省し除染尽力 福島民報2012年7月21日2面


伊達市霊山町で果樹除染の実験に取り組む田中氏(右)=平成23年8月

” 原子力規制委員会の初代委員長として「白羽の矢」が立った田中俊一氏は、東京電力福島第一原発事故後、放射性物質による汚染で苦しむ本県で除染活動に尽力してきた。
 「原子力に関わった人間として、県民に大変な迷惑を掛けた。これからの人生を、福島の環境を取り戻すことに尽くしたい」。昨年四月、ともに除染活動に取り組むコープふくしまの野中俊吉専務理事に送ったメールだ。
 田中氏は原発事故後、率先し本県に関わり、県が設立した除染の専門家ボランティアにも登録。作業員に交じり土を削るなど除染に取り組む姿勢に共感を覚える人も多い。
 事故から二カ月後には、計画的避難区域に指定された飯舘村長泥地区で活動を開始。伊達市では住民と共に小学校の校舎やプールの除染に取り組んだ。果樹の除染実験に汗を流し、近くの農家から「おいしそうなモモですね」とうれしそうに購入していた。今も一カ月のうち一週間は県内で過ごす。
 田中氏が除染アドバイザーを務める伊達市の仁志田昇司市長は「専門知識を生かし活躍してほしい。高い次元で判断するのにふさわしい人」と喜んだ。
 特定避難勧奨地点を抱える同市霊山町下小国地区の佐藤好孝さん(七四)は「市が県内に先駆けて除染に取り組む原動力になっていた。現地の人の気持ちを分かっている人なので、期待したい」と話す。福島市の主婦奥田敦子さん(五八)は「仮設住宅で避難生活を送っている人たちは大変な思いをしているので、少しでも助けになるよう復興に尽くしてほしい」と望んでいる。

※原子力規制委員会 国家行政組織法3条に基づいて設置され、委員長と委員4人は原子力や地震の専門家らで構成する。東京電力福島第一原発事故を受け、経済産業省が握ってきた原発の推進と安全規制の役割の分離を実施。原発に関する技術的、科学的判断に基づく決定は、首相でも覆せない。実務は事務局の「原子力規制庁」が担う。

解説 原子力ムラとの距離重視

 今後の原子力安全規制を担う原子力規制委員会の人選は、業界とのもたれ合いから東京電力福島第一原発事故を防げなかった反省を踏まえ、「原子力ムラ」から距離を置くことに重点を置いた。
 日本原子力学会会長を務めるなど「重鎮」でありながら、事故後は本県入りして除染に取り組むなどしている委員長候補の田中俊一氏は、こうした距離感に加え、「事故の反省」も条件とした政府の人選方針に合致したとみられる。
 委員長を含め五人の委員は、それぞれ「原子炉」「地震」「放射線防護」などの専門分野のバランスを取った布陣を目指す。しかし原子炉メーカーや電力会社の出身者の方が原発の構造などに詳しいのも事実で、こうした人材を過度に遠ざけることで、万一の事故の際、対応が不十分になる恐れも指摘される。
 田中氏ら五人は早速、原則四十年と定めた原発の運転期間の扱いや、関西電力大飯原発3、4号機(福井県)に続く再稼働問題への対応などに直面する。
 ただ五人で山積するすべての課題をカバーするのは難しい。より実効性を伴った安全規制を実現するには、事務局の「原子力規制庁」をはじめとした各委員をサポートする体制の整備も急務だ。

原子力規制委員会 人事案

委員長 田中俊一   前原子力委員会委員長代理 [放射線物理]

委  員 中村佳代子 日本アイソトープ協会主査 [核医学]

委  員 更田豊志   日本原子力研究開発機構副部門長 [原子炉安全工学]

委  員 大島賢三   元国会事故調委員 元国連大使

委  員 島崎邦彦   地震予知連絡会会長 [地震学]

※[ ]内は専門分野。敬称略”


2012年5月4日金曜日

田中俊一氏に聞く 「既存の技術 改良すべき」

田中俊一氏に聞く 「既存の技術 改良すべき」 - 東日本大震災|福島民報 2012年5月4日 3面

【除染作業に伴う技術開発の在り方は】

■既存の技術 改良すべき
東京電力福島第一原発事故で拡散した放射性物質の除染作業が本格化する中、NPO法人放射線安全フォーラム副理事長で県除染アドバイザーなどを務める田中俊一氏に除染作業に伴う技術開発の在り方などを聞いた。

-除染の技術開発についての考えは。

「土壌やコンクリート、樹木などに付着した放射性セシウムの除染には2つの課題がある。第1に放射性物質を減らす目標を達成できるかどうか。2番目は広範囲に土壌などを除染する場合に生じる廃棄物をどう抑制するか。効率的に、費用を抑え、廃棄物を減らすことが重要だ。新たな技術より実践の積み重ねが必要となる。特に目新しい技術が求められるものではない」

-現場で作業するに当たり、求められる技術は。

「例えば、側溝などの細かい部分、芝や土手などの表面を薄く削れるような道具があれば作業が楽になる。既に存在する技術を、現場の環境に合った形に改良すべきだ。一瞬で放射性物質を除去する魔法のような技術はあり得ない。コスト意識も大切だ。行政はゼネコンなど大手に頼りがちだが、地元の住民が家や田畑などで使える小型の機器が出回れば、除染が進むのではないか」

-既に開発された技術で効果的なものはあるのか。

「舗装面ではショットブラストは実績がある。放射線量を低減でき、削り取ったくずなどを吸引しながら作業ができる。一方、高圧洗浄には誤解がある。道路や雨どいの放射性セシウムが付着した土や葉を水でかき集めるために使うものだ。除染の効果は得にくい」

-国は除染のモデル事業に取り組んでいる。

「モデル事業は、さまざまな技術を使った結果を示すだけにとどまっている。住民が求めているのは『早く地域をきれいにしてほしい』ということ。除染対象に応じて推奨される技術と効果を具体的に示さなければ、地元の期待に応えられない。多様な技術から最も優れた部分を集約し、共有できるようにすべきだ」

-本県には広大な農地や山林がある。

「原発事故発生後に耕された田畑は除染が難しい。農作物への影響を防ぐため、放射性セシウムの移行を防ぐ取り組みと合わせて考えなければならない。山林は少しずつ作業を進めるしかない。一度に樹木を伐採すれば土砂崩れの懸念がある。地面に落ちた葉は除去、人家に近い木は一部を切るなどの作業が必要だ」

-除染の廃棄物対策をどのように進めるべきか。

「放射性セシウムは粘土やゼオライトなどに付くと安定する。しっかりと移動しないように処分すればいい。政府は中間貯蔵施設で放射性セシウムを除去し、最終的に県外に搬出するとしているが、莫大(ばくだい)な費用と時間を要する。個人的には各市町村で十分な安全対策を施した処分場を設け、収容するのが望ましいと考えている。住民の生活環境を守るための除染を進めるには、地元にも相応の対応が求められる」

たなか・しゅんいち
福島市出身。会津高、東北大工学部原子核工学科卒。日本原子力研究所に勤務し、内閣府原子力委員長代理などを歴任。昨年7月から県と伊達市の除染アドバイザー。67歳。


2012年4月12日木曜日

福島県における水田の反転耕

※結構大規模に水田の反転耕が行われていることを報じるニュースが続いたのでメモ。

※(伊達市で行われているということは、田中俊一氏も反転耕を積極的に評価する考え方に変わったのだろうか)

放射性物質吸着資材を散布 JA伊達みらい、伊達、桑折、国見の水田で - 東日本大震災|福島民報 2012年4月11日


” 平成24年産米の作付けに向け、伊達、桑折、国見各市町から委託を受けたJA伊達みらいは10日までに、国見町の水田で放射性物質の吸収を抑制する資材の散布を開始した。11日に桑折町、12日に伊達市で始める。
 23年産米で1キロ当たりの放射性物質の検出値が500ベクレル以下の地域の水田約1500ヘクタールが対象。4月末までに作業を終える予定。
 国見町の作業では、組合員らがトラクターを使い資材を散布した。10アール当たりゼオライトとケイ酸カリそれぞれ200キロずつ散布した。散布を終了した水田から順次、反転耕作業を実施する。”


喜久田の水田で除染実験 郡山市、秋以降の本格除染前に - 東日本大震災|福島民報 2012年4月11日

” モデル除染は市の委託を受けたJA郡山市が約1ヘクタールの水田で実施した。作業は反転耕で、トラクターで約30センチから40センチの深さの土を掘り起こした。”


2012年3月5日月曜日

「国は対応迅速化図れ」NPO法人放射線安全フォーラム副理事長 田中俊一氏

明日への提言「国は対応迅速化図れ」NPO法人放射線安全フォーラム副理事長 田中俊一氏 - 東日本大震災|福島民報 2012年3月 5日


" −避難区域外の「汚染状況重点調査地域」などでも仮置き場の確保が進まず、除染が難航している。

 「仮置き場の設置については、行政、住民の両方に環境の回復に向けた『覚悟』が必要になってくる。行政が設置場所を判断したことを踏まえ、専門的な知見から技術的な安全性と除染をする上での必要性をしっかり住民に説明しなくてはいけない。伊達市は梁川町の街中にある庁舎の近くに仮置き場を設置し、安全性を説明している。住民としても自分たちの生活の場を守るために必要との理解を深めるべきだ」

 −除染を進める上で県、市町村はどういった役割を果たすべきか。

 「福島の深刻な状況を国にしっかりと説明しないといけない。県はこれまで国に具体的な提案が少なかったように思う。中間貯蔵施設の設置についてもっとリーダーシップを発揮すべきではないか」"



2012年1月25日水曜日

「子どもの生活空間すべて除染を」研究者ら、水戸で講演

「子どもの生活空間すべて除染を」研究者ら、水戸で講演:茨城新聞ニュース 2012年1月19日

" 茨城原子力協議会が会員や市町村職員を対象に開催。高度情報科学技術研究機構会長の田中俊一氏と日本原子力研究開発機構福島環境安全センター長の石田順一郎氏が講演"

" 伊達市の除染アドバイザーを務める田中氏は・・・「経験から毎時0・5〜1マイクロシーベルトが合理的に除染できる限界。茨城県内ではホットスポットだけで十分」との考えを示した。"


2011年11月17日木曜日

福島原発事故に係る主な課題:2011年3月31日


科学史技術史研究所 » Blog Archive » 元原子力委員など福島原発事故・緊急建言/日本学術会議提言

福島原発事故についての緊急建言・福島原発事故に係る主な課題(pdf)




福島原発事故に係る主な課題

当面の最重要課題は、大量の放射能を環境にださない工夫をしながら、原子炉と燃料プールの使用済燃料を連続冷却すること(循環余熱除去システムの復帰)。
・ 必要なことは、電源を復帰させ、余熱除去システムを稼動させることで、一刻も速やかにこれを達成すること。
・ 作業を速やかに実施するためには、作業環境、作業体制を整えること。
― 作業場の放射線量をできるだけ下げること
― 重層的な作業体制をつくって、24 時間体制で実施できるようにし、個人の被ばく線量を抑制すると同時に、作業者が適切な休養・栄養・睡眠をとって思わぬ災害やトラブルを起こさないようにすること。
高レベルの放射線量下での作業は、2-3 時間で交代できるようにすべき。
・ 前線の作戦本部はサイトまたはオフサイトセンター内において、サイト内の現場作業と一体となって取組む(被ばくも苦労も分かち合うこと)。
・ 一個人に役割を集中させず、柔軟な役割分担も必要(現場所長等の超過労に配慮)。

制約条件
・ 炉心や燃料プールの冷却を欠かすことができない。しかし、冷却を継続していても溶融炉心は、徐々に圧力容器壁を溶かし続けるので、時間的な制約がある。
・ 水素は発生しており、細心の注意が必要。
・ 高レベルの放射性排水の処理は、極めて困難。多くの放射線源が分散しており、適切な放射線管理と遮蔽対策が必要。
・ 高レベル廃液は、移したところが放射線の発生源となるので、遮蔽が必要。
絶対に維持すべきことは、圧力容器と格納容器の閉じ込め機能と、使用済燃料プールの水位の維持

閉じ込め機能維持
・ 格納容器の圧力を下げるとか、水素爆発を除くために排気すれば、格納容器内の放射能の一部が環境に出る。
・ 燃料が破損・溶融したため、格納容器内には莫大な放射能が溜まっていると推定されるが、その量は不明。
・ ドライベントのように、放射能を環境に排出せざるを得ない事態には、住民、自治体に衆知し、適切な対応を要請すべし。

使用済燃料の破損防止
・ 使用済燃料プールの水位が下がり、燃料が空気中に晒され、除熱できなくなると燃料被覆管であるZr合金の温度が上がり、Zr-水(水蒸気)反応が起こり、被覆管が破損し、内部の放射能が環境に放出される。
・ 既に、3号機と4号機の使用済燃料ではこうした事態が一旦起ったようであるが、これ以上被覆管が破損し、さらに大量の放射能が放出されるのを防ぐためには、燃料を完全に水没させておくことが極めて重要である。

生活環境に放出された放射能対策と避難住民の復帰対策
・ 広範に放出された放射能の詳細な測定と影響評価
― 空間線量(積算線量)、土壌汚染、飲料水汚染の実態と評価
― 核種・線量の汚染マップの作成
・ 野菜等の風評被害対応
科学的で信頼できる評価と説明(個々バラバラの説明はよくない)
・ 相当の広い範囲でセシウム 137 等による汚染があり、レベルに応じた対策が必要。
・ 避難住民の復帰シナリオの提示
・ 必要に応じた健康診断

サイト内の放射能対策は、短期課題、中・長期課題に分けて対応すべし。まず、安全に安定化、その後大量の放射性廃棄物の処分
・ 当面は、放射能が環境に逸散するのを防ぐ手当てが必要(密閉管理)
・ サイト内に広がっている放射能対策
― 汚染されている土壌等は、できるだけまとめて放射能粉塵の飛散を防ぐ措置
― サイト外への飛散を防ぐことと、サイトでの作業者の被ばくを減らす上で重要
・ 大量の高レベル放射能排水の処理・処分
・ 使用済燃料の始末(長期)
・ 原子炉の始末(長期)


福島原発事故についての緊急建言:2011年3月31日

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福島原発事故についての緊急建言・福島原発事故に係る主な課題(pdf)




福島原発事故についての緊急建言

はじめに、原子力の平和利用を先頭だって進めて来た者として、今回の事故を極めて遺憾に思うと同時に国民に深く陳謝いたします。

私達は、事故の発生当初から速やかな事故の終息を願いつつ、事故の推移を固唾を呑んで見守ってきた。しかし、事態は次々と悪化し、今日に至るも事故を終息させる見通しが得られていない状況である。既に、各原子炉や使用済燃料プールの燃料の多くは、破損あるいは溶融し、燃料内の膨大な放射性物質は、圧力容器や格納容器内に拡散・分布し、その一部は環境に放出され、現在も放出され続けている。
特に懸念されることは、溶融炉心が時間とともに、圧力容器を溶かし、格納容器に移り、さらに格納容器の放射能の閉じ込め機能を破壊することや、圧力容器内で生成された大量の水素ガスの火災・爆発による格納容器の破壊などによる広範で深刻な放射能汚染の可能性を排除できないことである。
こうした深刻な事態を回避するためには、一刻も早く電源と冷却システムを回復させ、原子炉や使用済燃料プールを継続して冷却する機能を回復させることが唯一の方法である。現場は、このために必死の努力を継続しているものと承知しているが、極めて高い放射線量による過酷な環境が障害になって、復旧作業が遅れ、現場作業者の被ばく線量の増加をもたらしている。
こうした中で、度重なる水素爆発、使用済燃料プールの水位低下、相次ぐ火災、作業者の被ばく事故、極めて高い放射能を含む冷却水の大量漏洩、放射能分析データの誤りなど、次々と様々な障害が起り、本格的な冷却システムの回復の見通しが立たない状況にある。
一方、環境に放出された放射能は、現時点で一般住民の健康に影響が及ぶレベルではないとは云え、既に国民生活や社会活動に大きな不安と影響を与えている。さらに、事故の終息については見通しがないとはいえ、住民避難に対する対策は極めて重要な課題であり、復帰も含めた放射線・放射能対策の検討も急ぐ必要がある。

福島原発事故は極めて深刻な状況にある。更なる大量の放射能放出があれば避難地域にとどまらず、さらに広範な地域での生活が困難になることも予測され、一東京電力だけの事故でなく、既に国家的な事件というべき事態に直面している。

当面なすべきことは、原子炉及び使用済核燃料プール内の燃料の冷却状況を安定させ、内部に蓄積されている大量の放射能を閉じ込めることであり、また、サイト内に漏出した放射能塵や高レベルの放射能水が環境に放散することを極力抑えることである。これを達成することは極めて困難な仕事であるが、これを達成できなければ事故の終息は覚束ない。

さらに、原子炉内の核燃料、放射能の後始末は、極めて困難で、かつ極めて長期の取組みとなることから、当面の危機を乗り越えた後は、継続的な放射能の漏洩を防ぐための密閉管理が必要となる。ただし、この場合でも、原子炉内からは放射線分解によって水素ガスが出続けるので、万が一にも水素爆発を起こさない手立てが必要である。

事態をこれ以上悪化させずに、当面の難局を乗り切り、長期的に危機を増大させないためには、原子力安全委員会、原子力安全・保安院、関係省庁に加えて、日本原子力研究開発機構、放射線医学総合研究所、産業界、大学等を結集し、我が国がもつ専門的英知と経験を組織的、機動的に活用しつつ、総合的かつ戦略的に取組むことが必須である。

私達は、国を挙げた福島原発事故に対処する強力な体制を緊急に構築することを強く政府に求めるものである。

平成 23 年 3 月 31 日

青木 芳朗 元原子力安全委員
石野 栞 東京大学名誉教授
木村 逸郎 京都大学名誉教授
齋藤 伸三 元原子力委員長代理、元日本原子力学会会長
佐藤 一男 元原子力安全委員長
柴田 徳思 学術会議連携会員、基礎医学委員会。総合工学委員会合同放射線の利用に伴う課題検討分科会委員長
住田 健二 元原子力安全委員会委員長代理、元日本原子力学会会長
関本 博 東京工業大学名誉教授
田中 俊一 前原子力委員会委員長代理、元日本原子力学会会長
長瀧 重信 元放射線影響研究所理事長
永宮 正治 学術会議会員、日本物理学会会長
成合 英樹 元日本原子力学会会長、前原子力安全基盤機構理事長
広瀬 崇子 前原子力委員、学術会議連携会員
松浦祥次郎 元原子力安全委員長
松原 純子 元原子力安全委員会委員長代理
諸葛 宗男 東京大学公共政策大学院特任教授

2011年9月15日木曜日

環境省「環境回復検討会」委員一覧


平成23年9月12日
環境回復検討会(第1回)の開催について(お知らせ)

 「平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故により放出された放射性物質による環境の汚染への対処に関する特別措置法(放射性物質汚染対処特措法)」が定められたことを受け、当該事故により放出された放射性物質に係る除染等の措置等に係る事項について検討するため、「環境回復検討会」の第1回会合を開催いたします。

1.日時
平成23年9月14日(水)9:30~12:00

2.場所
環境省第1会議室
(東京都千代田区霞が関1-2-2 中央合同庁舎第5号館22階)

3.議題
(1)
除染の在り方について
(2)
その他

4.その他
 本検討会は非公開ですが、後日議事要旨を公表いたします。

5.委員一覧(敬称略)
 稲垣 隆司 元愛知県副知事
 大迫 政浩 独立行政法人 国立環境研究所 循環型社会・廃棄物研究センター長
 大塚 直  早稲田大学教授
 崎田 裕子 NPO法人持続可能な社会をつくる元気ネット理事長
○鈴木 基之 東京大学名誉教授(中央環境審議会会長)
 田中 俊一 NPO法人放射線安全フォーラム副理事長
 中杉 修身 上智大学元教授(中央環境審議会土壌農薬部会長)
 新美 育文 明治大学教授
 古田 定昭 独立行政法人 日本原子力研究開発機構 東海研究開発センター核燃料サイクル工学研究所放射線管理部 部長
 細見 正明 東京農工大学教授
 森 久起  財団法人 原子力研究バックエンド推進センター専務理事
 森口 祐一 東京大学教授

連絡先
環境省水・大気環境局土壌環境課
代表:03-3581-3351
課長:牧谷 邦昭
補佐:根木 桂三
担当:松浦 小百合(内線6657)

2011年8月7日日曜日

田中俊一氏講演スライド「その他の課題」

第四回原発対策国民会議における田中俊一氏の講演スライドより

スライド37

「厳しすぎる食物摂取基準値による被害の拡大」


保守的な仮定
・年平均濃度とピーク濃度の比をEUでは1/10に対して、1/2を仮定  ⇒  5倍
・Sr-90/Csの比を0.1と仮定(実際は、0.01以下)                            ⇒  5%
・食品摂取量について調査結果1365g/日を1600g/日と仮定          ⇒ 17%
・全ての食品が汚染されていると仮定                                          ⇒ 非現実
・米へのセシウムの移行係数を10%と仮定〈平均データは1%以下)
                                                                                                      ⇒耕作制限地の拡大

セシウムー137の内部被ばく換算  1mSv/72000Bq
★ 伊達市のキロ当たり580Bq梅を一年間に10kg食べた場合の被ばく量は、75μSv。
★ 神奈川県の新茶から、570Bq/kgのセシウムが検出されたことで、出荷自粛措置がとられたが、これは一年間に135kgのお茶を食べた場合、1mSvになる値である。
☆ 海水浴場の基準:10リットルの海水を飲むと7μSv。

スライド38

被ばく線量基準の決め方、適用には課題が多い

その1:計画的避難区域
  100mSvまでは、「直ちに影響のでるレベルではない」といいつつ、来年3月11日まで現在の地に留まって生活を続けた場合、積算線量が20mSvを越えることになるという予測に基づいて避難。
  → 緊急時ひばく状況(年間20-100mSv)
その2:学校の基準
  現存被ばく状況(年間1-20mSv)にある福島市や郡山市等の学校の基準は、当初は年間20mSvを適用、その後、年間1mSvを目標とすると訂正。(父兄等の心配と混乱)
  → 成人、子供、妊婦の区別なし。
その3:従事者の緊急時被ばく線量の扱い
  福島原発の事故収束に向けた作業者には、緊急時ひばく限度として250mSvが適用されている。一方、通常の職場では、年間50mSv、5年間で100mSvの被ばく限度が適用される。
  福島原発での被ばく線量を通常の被ばく線量と別扱いしないという厚生労働省の通達が適用されると、福島原発での作業者はその後、他の職場での仕事が出来なくなる。
  → 緊急時と平常時の基準が交錯(省庁縦割りでは現在の状況は乗り切れない)
その4:放射性廃棄物の基準
  廃棄物処理施設の周辺住民被ばくは1mSv/y以下。処理業者も電離則に沿って1mSv/y以下。埋設処分管理期間終了後は10μSv/y(6月3日安全委員会)
  → 福島県の状況を認識しない無責任
ガレキは8000Bq/kg以下なら一般廃棄物として処分可能(環境省)
  → 汚染のスクリーニングは事実上不可能

スライド40

国は住民に対する適切な発信ができていない

・事故当初おいて、適切な原子力防災対応をしなかったことで、避難指示を受けた多くの住民は飯舘村などに避難した。つまり、国の適切な発信がなかったことにより計画的避難区域では無用の被ばく、特に子供達が被ばくをしたということに極めて強い怒りと不信感がある。

・避難を余儀なくされた住民は、戻れるか、いつ戻れるかということで、絶望感と望みの中で揺れ動いている。国は具体的に除染の取組みを始め、こうした不安に応えることが急がれる。また、避難住民の大きな悩みの一つは仕事の喪失であり、住民は除染作業に参画し、安定した仕事を持ちつつ復帰できることを強く希望している。

・福島県民は、放射線被ばくに対して強い懸念を抱いている。特に、子供達の被ばくについての母親の心配は極めて深刻であり、子供達の生活環境の放射線量の低減化を図りつつ、放射線による健康影響について、正しく理解できるような取組みが必要である。

・福島市等の学校では、30度を越すような日でも校舎の窓を閉め切ったり、マスクをして授業を行っているが、これは意味がない。国(文部科学省)の測定では、飯舘村や川俣町も含めて3月末からは特別の対応が必要な空気中の放射能は観測されていないことを踏まえて、適切なアドバイスをすべきである。
  同様のことは、洗濯物を外で干すとか、布団を干すということにも当てはまるもので、生活者の立場での適切な発信が大事である。

スライド41

「大気中の放射能」


空気中には放射能がないので、窓をしめたり、マスクをしたり、長袖を着る効果ゼロ。洗濯物、布団も外で乾燥させても問題はない。

スライド42

国(政治)が取組むべき緊急課題

① 国の責任で放射能除染に早急に着手すること
  ・国が責任をもち、除染は各自治体に委ねること。
  ・除染活動には地元住民の協力を得て、当面の労働(雇用)の機会とすること。
  ・避難住民の復帰は、2年程度を目処に取り組むこと(復帰への希望がもてること)。
② 放射能除染に伴う廃棄物の最終処分方法を早急に提示すること
  ・産業廃棄物でもなく原子炉規正法上の廃棄物でないが、安全な管理処分は極めて容易である。
  ・広域除染、数千万トンに及ぶ廃棄物の処分場は、各自治体、または県が責任をもって用意すること。
  ・放射能汚染を除去するためには最終処分場が不可欠であることを住民に理解してもらうことが
必要。(首長の指導力と覚悟を支援する国の協力が不可欠)
  ・簡便さとコストを考慮しない処理・処分方法は現実性がない。(思いつきの提案は混乱の原因)
③ 住民(福島県民)への適切なアドバイス
  ・現存被ばく状況にある地域での日常生活のすごし方(ストレスを少なくするための方策)
  ・空気中ダスト測定結果を踏まえ、マスクや長袖着用、窓を閉め切った生活の無意味さを説くこと。
  ・汚染地域での農作物へのセシウム取り込み防止の方法を提示すること
  ・食品摂取に関する基本的な注意
④ 住民に対する健康管理
  ・小児・子供、女性(妊娠可能)に対するセシウムの健康影響について、住民が納得できる説明が必要(現状は不安と疑心暗鬼で大混乱状態)
  ・子供への積算線量計の配布については、測定結果をサポートすることが必要。
  ・個々の住民の被ばく量の推定と長期的な健康管理体制の構築

以上

田中俊一氏講演スライド「放射能に汚染された土壤、瓦礫等の処分」

第四回原発対策国民会議における田中俊一氏の講演スライドより

スライド29

4.放射能に汚染された土壤、瓦礫等の処分

現実に合わない廃棄物処分に関する国の指針は、処分の障害

スライド30

廃棄物処理処分に関する安全確保の当面の考え方
原子力安全委員会(6月3日)

処理
・処理施設の周辺住民の被ばくは1mSv/y以下にすること。
  ⇒ 除染を行っても福島県の住民の被ばくを1mSv/y以下にすることは不可能な状況
・処理作業者は1mSv/y以下、電離則を遵守して被ばく管理をすること。
  ⇒ 現状で、この条件は満足することは不可能で、処理は実施できない。
・排気・排水濃度限度以下であることを確認すること。
  ⇒ 校庭に埋めた場合は管理してない。
処分
・処分した後(管理期間終了後)のめやすは、10μSv/y。
  ⇒ 管理期間は決めない?
  ⇒ 校庭に埋めた土壌は管理しないか、管理期間終了のどちらか。
       後者であれば、10μSv/y はまもることは不可能。
再生利用
・クリアランスレベル(100Bq/kg)以下、10μSv/y以下。
  ⇒ 避難区域からの持ち出し品のスクリーニングレベルは、10万cpm(表面400Bq/cm2相当)と相容れない
  ⇒ 市場流通前の基準以下とすれば、希釈効果を認めている今の基準より厳しく、実質的に再生利用は不可能。

スライド31

福島県内の災害廃棄物の処理方針
環境省(6月23日)

焼却灰、不燃物
・8000Bq/kg以下である主灰は、一般廃棄物採集処分場(管理型最終処分場)で埋設可能。
  ⇒ 廃棄物の放射能濃度の確認は、現地のバックグランドレベルが高くて実質的に不可能
    (時間とコストをかければ可能)
・10万Bq/kgを越える場合は、放射線を遮へいできる施設で保管。国によって処分の安全性が確認されるまでの間、一次保管。
  ⇒ 大量の廃棄物を保管できる場所はない。したがって、処理できない。
再生利用
・安全委員会と同じ
その他
・焼却、埋立処分、再生利用については、施設の排気、処分場の排水等について適切かつ定期的な放射能濃度の測定。
・焼却灰を保管する量や放射能濃度を記録
  ⇒ 一般廃棄物処理場を放射性廃棄物処理施設と同じ考え方で扱うことで、誰が事業主体となるのか。許可は誰がどのように出すのか不明(環境省?)
・作業者には電離則を適用1mSv/y以下。
  ⇒ 処理は不可能。一般住民は子供も含めて1mSv/y以上でもよいということとの矛盾。
・施設の管理主体等については、民間業者の管理処分施設もありうる。
  ⇒ 放射性廃棄物であれば、長期の安全確保を含めて国(または、県、自治体)が責任をもつべき。

スライド32

現実(緊急時)に合った対応が必要

• 福島県を汚染している核種としては、137Csと134Csを考慮すればよい。
• ほとんどの地域で汚染除去によって排出される廃棄物濃度は、10万Bq/kg以下である。廃棄物濃度は地域ごとのスクリーニングが現実的である。
• 廃棄物の種類は、多様であり混在しているので、放射能濃度のスクリーニングは極めて困難で、分別効果はコスト高となるだけである。
• 放射性廃棄物は、各市町村で数百万トンになる。福島県全域では数千万トンか?
• できるだけ速やかに除染を行う必要がある。既に、大量の廃棄物が排出されており、福島県はパニック状況。
• 他の県でも下水処理施設の汚泥を最終処分する場所がない。最終処分場がなければ、いづれは問題になる。


既存の考え方、既存の基準・規則は現実に合わない。廃棄物の分別、縮減、再利用の考え方は、一旦捨てることが必要。

スライド33

国は、福島県及び自治体と協力して、放射能除染の前提となる放射性廃棄物の管理型処分場(トレンチ型)の実現を図る責任がある!

・土壌、草、樹木、コンクリート屑、汚泥など、除染をすれば廃棄物がでるので、これを集積して安全に処分できる場所の確保が必要である。
・瓦礫、除染廃棄物のセシウムの濃度はほとんど10万Bq/kg以下であり、トレンチ型の放射性廃棄物場であれば処分可能。
・放射性廃棄物は、放射能が減って安全になるまでは管理処分するのが鉄則である。
・管理処分場で常に放射能の監視を続ければ、安全は担保できる。特に、セシウムはベントナイトやゼオライトに吸着されると動かないので、管理が容易である。

茨城県東海村では、20年ほど前に我が国最初の試験用原子力発電所を解体し、放射能の低いコンクリート等をトレンチ型と呼ぶ処分場に埋めた実績がある。
村上村長のメッセージ
「私は原子力についての素人でありますので確たる事は申し上げられませんが、十分に研究された後実施された方法であることから何ら懸念するものはございません。ただ、私共地元民としては、埋設以後十分な期間モニタリングしてくれることを望んでおり、そのことで安心が得られるものと思っております。望んでいることは、このことのみで不安は全くございませんと云えます。」

スライド34

「セシウムに汚染した廃棄土壌等の管理処分場」


・ベントナイト中でのセシウムの300年間の移動距離は0.1mm
  ⇒ 数mmのベントナイト層を設ける事でセシウムの閉じ込めが可能。
・排水中のCs-137濃度を連続モニターで監視
・排水中のCs-137濃度が基準を上回った時には、ゼオライト吸着塔などを用いて排水を処理
・覆土を100cmすれば、放射線量は0.0001μSv/h以下

スライド35

「実績のある埋設処分場(東海村)」


①地下水の少ない場所に、
②遮水性及び閉じ込め能力の高い土(粘土など)で囲んで、
③十分な厚さの土砂で覆う。
④放射性物質の地下の挙動をシュミレーションで予測するとともに、
⑤周りへの影響が無いことを十分な期間モニタリングする。

セシウムは、土壌中の粘土成分と結合し、動きは非常に緩慢な性質に着目

田中俊一氏講演スライド「福島県の汚染の実態」

6月3日(金):福島大学行政政策学類が田中俊一氏を招いて「福島における放射能除染のあり方について」(リンク先youtube)という学習会を開催。
7月6日(水):原発対策国民会議が第四回の開催時に田中俊一氏を招いて「周辺放射能対策の重要課題」について協議。

第四回原発対策国民会議における田中俊一氏の講演スライド(リンク先pdf)中、6月3日の学習会に出ていない情報を抜粋。

スライド1

「環境へ放出された放射能除去の必要性と課題」

1.福島第1原発事故により放出された放射能
2.飯舘村長泥地区での放射能除染試験
3.福島県の汚染の実態4.放射能に汚染された土壌等の集積処分場
5.その他課題
① 食物摂取基準値
② 被ばく線量基準の決め方、適用
③ 住民に対する適切な発信

国(政治)が取組むべき緊急課題

スライド5

「現存被ばく状況にある地域(福島市、郡山市、二本松市等の中通り)の放射能汚染除染の必要性」

汚染の状況

・計画的避難区域ほどではないが、市街地、道路(コンクリート)、側溝、花壇、芝生、庭、屋根など
が広範囲に汚染し、空間の放射線量は年間数mSv~10数mSvのレベルである。

汚染除去の必要性

・年間20mSvを基準とし、空間線量率を3.8μSv/hを目安にしたが、ICRPのは汚染除去の努力を
して年間1mSvを目指すべきとしており、被ばく線量を下げる努力は国の責任である。
・特に、幼児・子供の被ばく線量は、最低でも成人の3分の1以下にするのが国際的合意である。
(18歳未満は、放射線管理区域での作業は許可されていないことも考慮すべき)
・住民に放射線被ばくに対する深刻な心配とパニックを引き起こし、その状況は極めて懸念される状況にある。特に、放射線被ばくの影響ついての国の説明が一貫性を欠いていることに加えて、多くの専門家の意見がバラバラで、住民の不信は頂点に達している。
年間100mSv以下、あるいは20mSv以下は、健康影響がないという説明は、科学的正確さに欠き、住民の不信を増加させるだけであり、放射線量を住民とともに下げる努力をしながら、放射線被ばくに関する住民との対話ができる状況を取り戻すことが重要で、それ以外に対話の道を開くことは不可能。

スライド20

「3.福島県の汚染の実態」

森羅万象は高い濃度の放射能に汚染されていることを認識する必要がある

スライド21


(牧草地の)土壌層には放射性物質はほとんど存在しない。

草地は、草の根元と土の表面に大部分のセシウムが留まっているので、これを丁寧に薄く剥ぎ取る。

杉や広葉樹の葉や枝にセシウムが取り込まれている。これは、水洗いしても落ちないので、できるだけ枝払いをする。

スライド22


スギの枝の放射能は、時間とともに内部に移動するので、早めに伐採することが望ましい

スライド23

「学校周囲の放射線量率」


校庭を安心して利用するためには、放射線量率を下げることが必要であり、校庭の土壌だけでなく、周囲の土手や樹木の放射能を除去する必要がある。

埋設地表面:0.25μSv/h 1m:0.5 μSv/h
ヒバ垣根・植込:1.4-3.7μSv/h
ジャングルジム:0.7-1 μSv/h
土手:3-5μSv/h

スライド24

「学校周囲の放射線量率」


校舎前のコンクリートからの放射線は、校舎内の放射線量に大きな影響を与えるので線量を下げるためには広い面積のコンクリートに付着している放射能を除去することが必要です。
コンクリートの割れ目には、周囲より多くの放射能が着いているので、これを丹念に取り除くことも必要であるが、こうした部分的な放射能は、被ばく線量にはあまり効かない。

表面:2-3 μSv/h 1m: 1.4-1.8 Sv/h
(割れ目):6-8μSv/h

スライド25

「学校周囲の放射線量率」


ベランダや屋上は教室との距離が近いので、校舎内での被ばく線量を下げるためには屋上やベランダの放射能も出来るだけ除去することが必要である。

屋根、雨樋
ベランダ3F:0.2-1μSv/h
屋上:0.6-1.6μSv/h
排水口:2.3μSv/h
コンクリート表面:2-2.4μSv/h

スライド26

「学校周囲の放射線量率」


プールの水は、放射能を取り除いてから排水し、プール底や壁、及び周囲の放射能を除染し、新しい水は循環しながら放射能(セシウム)を連続的に除去することで、遊泳可能にする。目標は海水浴場の基準である1リットルあたり50ベクレル以下。

屋根、雨樋の除染
常緑樹は深い剪定
プール周囲表面:1.5-2 μSv/h
プール側溝:6-8μSv/h

スライド27

「学校周囲の放射線量率」


校舎の裏側の土壌や叢に沈着している放射能は、校舎内の放射線量に大きな寄与があるので、これを丹念に取り除くことが必要である。

校舎裏:5 μSv/h
体育館の裏手表面: 33μSv/h
校舎裏(給食室裏)枯草: 2.5μSv/h

スライド28

「幼稚園周囲の放射線量率」


幼稚園の玄関の敷石には、グランドと比べると数倍の放射能が付着している。特に溝の部分は倍ぐらいである。
幼稚園内の放射線量をより下げるためには、敷石の放射能や屋根・雨樋などの放射能、それにグランド周囲の常緑樹の枝払いが必要である。

(敷石):1.9μSv/h
(敷石へり):3.0μSv/h

2011年8月2日火曜日

あさイチ【特集】除染 環境を取り戻せるか? 専門家ゲスト:田中俊一さん

あさイチ【特集】除染 環境を取り戻せるか? 専門家ゲスト:田中俊一さん 2011年8月2日(火)より

除染のポイント(モニタリング)

ホットスポットを探す目的で放射線測定器を使用する際は、ビニール袋に入れてベタ置きで測定したほうが良い。
・他のスポットからの放射線をなるべく受けないように計測するため
・相対的な高低を計測すれば良いため

除染のポイント(実践編)

ビニール手袋を使い捨てにする。服装は軽装でも良い。作業後の洗濯は風呂でざっと水洗いしてからの方が良い。

・草を抜いたら土を落とさないように(草の根元数センチのところに放射性セシウムがあるため)

・"窓などは回すように拭くのではなく、一方向に拭いて一か所に放射性物質を集め、ぬぐい取る。(その雑巾などはそのまま捨てる)"

除染のポイント(仮置き)

・除染で出た廃棄物は厚手のビニール袋に詰める。
・"なるべく家から離す(距離の二乗に反比例して放射線量は減る)"
・"廃棄物を入れた袋の放射線量を測定、その線量を袋に書き入れる。"
・"土を掘ってその穴に放射線量の高い数値の袋から下にして埋める。"
放射線量の低い袋で高い袋を遮蔽するように重ねていく
・"だんだんと低い線量の袋を重ね、最後に土のうや土を上にかける。(20センチの土で覆えば線量は5分の1~10分の1になる)"

2011年6月26日日曜日

「福島第一原子力発電所事故について -原子炉の立場から-」田中俊一 より抜粋

※平成23年6月10日 日本物理学会主催シンポジウム
PDF「福島第一原子力発電所事故について -原子炉の立場から-」田中俊一 より。
同氏の講演「福島における除染のあり方について」動画インデックスと重ならない部分を抜粋。

福島第一原発の諸元


炉心内、燃料プールの燃料集合体


時系列から探る初期対応

:日経・朝日、:官邸データ、:コメント(田中)

3月11日(金)
14:46 地震発生、運転中の1,2,3号機自動停止
16:36 ECCSによる注水不能、原災法に基づく緊急事態発生を国に通報(東電)
19:03 原子力災害対策本部設置、原子力緊急事態宣言発令(首相)
20:30 2号機の冷却装置停止
22:50 2号機の炉心露出、燃料溶融予測(NISA)  ⇒  水素発生認識?1号機でも?

3月12日(土)
1:20 1号機格納容器圧力の異常上昇通報(東電) ⇒ 水素発生の認識?
1:30 政府が東電に水蒸気放出を指示 ⇒ 水素の認識?
6:38 1号機中央制御室の線量、通常の1000倍(NISA)
                    D/W圧力(AM2:45-5:20に0.941MPaを記録) 破壊寸前!
                    格納容器は過大な圧力で機密性を失ったため内部の放射能と水素が
              原子炉建屋へ漏洩! しかし格納容器からの放射能漏洩認識?
6:50 炉規法に基づき、経産相から1,2号機の格納容器圧力を下げるよう東電に命令
9:11 NISAが1,2号機の格納容器内の蒸気を外部に放出することを東電に命令
                                                                      水素爆発の認識なし!
10:17 1号機格納容器のベント実施
15:36 1号機で水素爆発
20:32 1号機に海水注入開始

3月13日(日)
8:41 3号機格納容器ベント開始
                  RPV圧力約9気圧から72気圧へ急上昇(8:00)、水位急低下(-3000mm)
            D/Wの圧力上昇、その後RPV圧力大気圧まで低下。
                                                  ⇒ 13:12に海水注入するまで炉心冷却なし。
11:20 2号機格納容器ベント開始
13:12 3号機に海水注入開始

3月14日(月)
5:20  3号機ベント開始
11:00 3号機で水素爆発
16:34 2号機に海水注入、水位回復せず、燃料露出
            17:12に水位ダウンスケール、PRV圧力74気圧、15日18:43に大気圧。
                                         ⇒ 圧力バウンダリーが破壊(破壊の原因)

3月15日(火)
6:00 4号機で爆発(SFプール)、水位低下により水素発生、燃料破損
6:10 2号機で水素爆発、圧力抑制室損傷
                                         ⇒ 燃料溶融と大量の水素発生についての認識欠如

3月16日(水)
 8:30 3号機から白煙、SFプールの水位低下、燃料破損
               ⇒ 使用済燃料の発熱についての認識欠如、地震によるSFプールの損傷も
          確認せず。「SFプールの水位に注意」の助言が届かず。

冷却材喪失による炉心溶融のプロセス

① 炉心冷却が喪失すると崩壊熱により、RPV内の水が急速に蒸発、燃料が
  露出し、燃料被覆管(Zr合金)と水(水蒸気)との反応が始まる。
   Zr + 2H2O → ZrO2 + 2H2   Q:
  安全審査指針では、被覆管表面温度を1200℃以下(ECCS指針)
② 1200℃を越えると急速に反応が進み、被覆管は脆化し、同時に水素発生
  が急速に進み、2250℃で溶融。
   4-5時間でZr被覆管がほぼ100%溶融。
   その間の水素生成量は、約800kg
③ 更に、温度が上昇し、2800℃になるとUO2燃料(セラミック)が溶融し、燃料
  に閉じ込められている核分裂生成物(FP’s)が燃料の外に拡散放出される。
④ 溶融炉心は、炉内の構造物を更に溶融し、RPV下部に蓄積(炉心溶融)
⑤ 溶融炉心はRPVの制御棒駆動案内管等の貫通部分を溶かし、下部ヘッド
  に落下(BWR特有)
⑥ さらに、溶融炉心は下部ヘッドの壁を貫通して、格納容器に到達。
   (メルトスルー)
⑦ 格納容器の壁を溶融し、貫通。

事故の収束に向けた道筋  4月17日東電

現状① (1~3 号機)燃料ペレットの一部は損傷しているが、注水により冷却で
     きている
 リスク① 冷温化により格納容器内の水蒸気が凝縮、水素の濃度が高くなり、
      水素爆発する恐れ
現状② (1~3 号機)高温により格納容器に生じた隙間から放射性物質を含む
     微量の蒸気が漏洩している可能性大
現状③ (2 号機)漏水が多く、格納容器が損傷している可能性大
目標① (1・3 号機)安定的に冷却できている
 リスク④ 水を満たす過程でタービン建屋への流入水が増加
 リスク⑤ 放射線レベルの高い場所で、作業が長期化する恐れ
目標② (2 号機)格納容器が密閉できるまでは、滞留水の増加を抑制しつつ冷
     却する
 リスク② 損傷箇所の密閉作業が長期化する恐れ
現状⑨ 2 号機タービン建屋や立坑・トレンチに放射線レベルの高い水が流出かつ滞留
目標⑥ 放射線レベルが高い水を敷地外に流出しないよう、十分な保管場所を確
     保する
 リスク⑦ 水処理施設の設置遅延や稼動不良の可能性


収束の見通し

4月17日
ステップ1;放射線量が着実に減少傾向となっている(3ヶ月程度)
ステップ2:放射性物質の放出が管理され、放射線量が大幅に抑制
されていること(3~6ヶ月)
5月17日
収束への道筋の見直し、「水棺方式」を延期、建屋等に滞留する汚
染水を処理して原子炉注水に再利用する「循環注水冷却」へ現状
6月8日
1号機、2号機、3号機はメルトスルー状態
  (溶融燃料が圧力容器下部から格納容器へ)


現時点での最大の課題は、毎時25トン(600トン/日)
程度排出される大量の高濃度汚染水の処理

今後の課題

「福島原発は、巨大な放射性廃棄物」




今後の課題(サイト内)

• 事故の沈静化・安定化(数ヶ月~3年)
• 作業環境の改善(数ヶ月~5年)
  放射能気体、汚染水、瓦礫等の処理
• 原子炉建屋修復・密封性修復(~1年)
• SF燃料、原子炉燃料取出し(5~10年)
• 通常の解体(10年) 
• 廃棄物、破損燃料の保管(数10年)

今後の課題(サイト外)

• 放射線・放射能マップ(1~2ヶ月)
• 評価と対応策(1ヶ月~6ヶ月)
• 環境放射能の除染(数ヶ月~数年)
• 住民の移住、土地問題等(10年以上)
• 風評被害対策(10年)
• 放射線モニタリング(10年以上)
  大気、土壌、海、米・野菜等、魚類等
• 損害賠償(10年以上)
• 健康調査・管理(最低10年)

科学者への期待とモラル

• 原発の収束、その後対策のための課題は山積しており、
具体的にかつ即効性のある成果が求められている。

• 現実への責任を持てないプレス発表は、結果として住
民を傷つけることになることに留意すべき。
• 研究者の興味だけのフィールド試験は、住民を不安に
陥れ、科学者への不信を募らせる。
• 様々な除染技術や廃棄物処理技術が提案されている
が、除染すべき対象は広大で多様、また廃棄物は多種
多様で物量は膨大であることを認識すべき。
  (応用可能性に配慮していただきたい)

以上

2011年6月25日土曜日

学習会・田中俊一先生「福島における除染のあり方について」4/8 インデックス

こちらの動画のインデックス。

スライド27(動画 Part 4/8 00:51~00:57)

「試験結果のまとめ」

○ 汚染除去の結果
 ・ 屋内線量率は、3.9~8.6μSv/hが3.1~4.3μSv/hに低下。さらなる低下のためには、家屋の周囲50m~100mの範囲の除染が必要。
 ・ ビニールハウス(畑)、牧草地、水田の放射能(セシウム)の濃度は、耕作制限値の 5分の1~2分の1に低下。
       ビニールハウス(畑):89%~93%(暫定値)
      牧草地:93%~95%(暫定値)
      水田:69%~85%(暫定値)
 この値は、測定器のBG補正をすれば、さらに除去率は5%から10%良くなると推測。

○ 最終処分(放射能除去に伴う土壌、草、その他の処分)
 ・ 放射能の除去に伴う廃棄物は、各自治体で数十万トン~数百万トン、福島県全体では数千万トンになると推測される。
 ・ 除去廃棄物には、セシウムー137(半減期30年)、セシウムー134(半減期2年)が含まれており、これを安全に集積処分する場所を確保することが、あらゆる放射能除染の必 須事項である。
 ・ 処分場としては、セシウムの半減期を考慮すると200年~300年は他の用途に供しない場所が必要である。
 ・ セシウムはベントナイトやゼオライトに取り込まれた場合、300年で0.1ミリメートル程度しか移動しないので、安全を担保しつつ管理処分することが極めて容易である。

スライド28(動画 Part 4/8 00:57~01:40)

「4.学校等の放射能除染」

汚染の状況
 ・校庭、通路、草むら(土手)、芝生、花壇、屋根など、広範囲に汚染している。
 ・Csは、表面または表面近くに大部分が留まっている。
土壌、草むら、樹木の除染
 ・ポリイオン溶液を散布し、土壌等を固化し、Csが飛散しないようにしてから土壌や草を丁寧に剥ぎ取る。2-3cm程度の厚さでほとんど除去できる可能性が高い。
 ・樹木(常緑樹)は、出来るだけ剪定する。
レンガ、コンクリート等
 ・GMサーベイメータで測定しながら洗浄する。この際、適当な除染液(家庭用洗剤等)やポリイオン溶液も有効かも知れない。
校舎等の屋根、雨樋、ピット
 ・屋根は高圧洗浄し、雨樋にはセシウムが溜まっているので、丁寧に高圧洗浄し、洗い流す。
 ・ピットには予めゼオライト等を入れておき、汚染状がそのまま下水等に流れないようにする。
汚染除去効果の確認
 ・一度で除去できてない場合もあるので、GMサーベイメータで確認することが必要。
廃棄物の処理・処分
 ・剥ぎ取った土壌、草等はビニール袋に入れてまとめ、最終処分場に運搬。

スライド29(動画 Part 4/8 01:40~05:01)

「放射能除染の一般的留意事項」

・汚染除去の基本は、汚染(放射能)を広げないように丁寧に取り除くこと。
・Csは比較的飛散しにくいが、吸い込まないようにマスク(花粉用)をし、手袋(薄手のビニール)をすること。
・ GMサーベイメータ(放射能測定器)、NaIサーベイメータ(線量測定器)をもつ、専門家のサポートを得ることが必要

学校等の除染方法は、一般家庭の場合でも同じく適用できるが、除染をすれば廃棄物がでるので、その処分についての対策が必要。(自治体等でまとまって広く除染することが効果的)

スライド30(動画 Part 4/8 05:01~05:05)

「5.日常生活について」

① 食品摂取基準値
② 大気中の放射能
③ 放射線の健康影響

スライド31(動画 Part 4/8 05:05~09:20)

「① 食物摂取基準値」




・ 食物を摂取したことによる内部被ばく量が一年間に5mSv以下になるように決めたもの。
・ 全ての食品が制限値の汚染があることを前提としたもの

Cs137を約72、000Bq摂取すると1mSvの被ばく量
★ 伊達市のキロ当たり580Bq梅を一年間に10kg食べた場合の被ばく量は、75μSv。
★ 神奈川県の新茶から、570Bq/kgのセシウムが検出されたことで、出荷自粛措置がとられたが、これは一年間に135kgのお茶を食べた場合に1mSvになる値。

スライド32(動画 Part 4/8 09:20~10:47)

「飯舘村長泥地区の野菜の放射能検査結果(Bq/kg)」




よく土を洗い落とせば、 飯舘村長泥の野菜も 美味しく食べられる。

スライド33(動画 Part 4/8 10:47~11:47)

「②大気中の放射能」




空気中には放射能がないので、窓をしめたり、マスクをしたり、長袖を着る効果ゼロ。洗濯物、布団も外で乾燥させても問題はない。


スライド34(動画 Part 4/8 11:47~12:09)

「Cs-137ガンマ線の遮蔽」


コンクリートの建物の中は線量 が低くなるが、ガラス戸や雨戸では効果がない。

スライド35(動画 Part 4/8 12:09~12:46)

「③ 放射線の健康影響」

JCO臨界事故による住民に対する 最大の影響は心的ストレス

スライド36(動画 Part 4/8 12:46~13:25)

「放射線の相対危険度(国連科学委員会1994年報告書より)」


スライド35(動画 Part 4/8 13:25~14:44)

「妊娠と放射線(ICRP勧告84より)」




ICRP勧告84妊娠と放射線に収載されている、複数の疫学調査結果。
放射線を大量に使う必要 があった、50年近く前の調査結果も含まれている。
100mSvの放射線を受けて も小児がんにならない確 率は99%以上。

講義終了

補足スライド1

「福島第一周辺の空間線量率(保安院・東電公表値)」


補足スライド2

「空間線量率の変化(30km以遠)」


※動画の5/8以降、質疑応答は未見。

学習会・田中俊一先生「福島における除染のあり方について」3/8 インデックス

こちらの動画のインデックス。

※"除染"をキーワードに、検索から来てくださった方に申し上げます。このメモは2011年6月3日に福島大学で行われた田中俊一氏の「福島における放射能除染のあり方について」という講演を元に作成してあります。いささか旧聞に属しますので、除染の具体的な手法については

福島市ふるさと除染計画・除染マニュアルを策定しました | 福島市震災関連情報サイト

上記福島市HPの除染マニュアルを併せてご確認下さい。

スライド11(動画 Part 3/8 00:17~04:29)

「学校等のセシウム汚染除去の必要性」

汚染の状況
・校庭、通路、草むら(芝生)、花壇、屋根、樹木(常緑樹)など、広範囲に汚染している。

汚染除去のレベル
・年間20mSvを基準とし、空間線量率を3.8μSv/hを目安にしたが、ICRPは汚染除去の努力をして年間1mSvを目指すべきとしている。
・特に、幼時・子供の被ばく線量は、成人の3分の1以下にするのが国際的合意である。(18歳未満は、放射線管理区域での作業は許可されていないことも考慮すべき)
・Csは様々なところに付着しており、放置すれば空気中に舞い上がるなど内部被ばくの原因となる。
・学校、幼稚園、保育所、公園などは、子供が長時間過ごす場所で、砂いじりなどで内部被ばくの可能性も高い場所であることから、徹底した汚染除去が必要である。
・文科省は、5月27日に今後一年間の学校等での被ばく線量が1mSv以下になるように除染を行うことを表明。

汚染土壌等の処理・処分
・天地返しは、Csの半減期が30年であることを考慮すると、その後数100年は天地無用の土地になり、それを担保することは不可能である。
・放射性廃棄物処分では、管理できない状況にすることが最悪の選択である。

スライド12(動画 Part 3/8 04:29~04:44)

「3.飯舘村長泥地区での放射能除染試験」

○家屋、屋敷の除染
雨樋、屋根の除染
・ポリイオン溶液を注ぎ、Csの飛散防止をしてから土、枯葉を除去
・屋根は全体を高圧水洗浄
屋敷表
・砂利(砕石)の土壤にポリイオン溶液を散布(Csの飛散防止)
・雨水ピットの土壤を剥離
・花壇の土、石苔は移植ベラで簡単に除去、また常緑樹については一部剪定
屋敷裏
・ポリイオン溶液を散布後、土壤を剥離(雨樋下近傍:3~4cm程度)
・裏手、横の草地は、1cm程度の厚さで杉林の境界まで剥離
・屋敷近傍の杉の枝、枯葉を林の奥に移動
・スポット状の汚染土壌を剥離
・家近傍の杉、もみの木を伐採、枝打ち
○ビニールハウス(畑)、水田、牧草地の除染
・一定の試験面積に複数の成分を持つポリイオン溶液を散布(5月20日)
・併せて、コアサンプリングによる分析用サンプルを採取
・剥離し、除染効果を確認(5月26日)

スライド13(動画 Part 3/8 04:44~05:13)

「測定器&測定方法」




GMサーベイメータ(写真)、NaI線量計(写真)、鉛コリメータ3mm厚(写真)
☆Bq/kgからBq/m^2への換算
土壤、砂の比重は、1.0~1.5と仮定すると3cm厚さでは、1Bq/kg=30~45Bq/m^2
・田畑の作付け制限値(取込率10%)
→5000Bq/kg(=1.5×10^5~2.25×10^5Bq/m^2)
・GMサーベイの測定値から、Bq/m^2への換算係数
→200cpm当たり0.4Bq/cm^2

作付制限値に対する放射能除去の目安
 5000Bq/kg:7500cpm~11250cpm

スライド14(動画 Part 3/8 05:13~05:51)

「家屋周囲の線量&放射能(除染前)」




スライド15(動画 Part 3/8 05:51~06:16)

「民家周囲の線源」


屋敷表・横側:屋敷杉、草地、母屋(屋根、雨樋)、物置・牛舎(屋根、雨樋)、車庫、前庭・花壇、畑
屋敷裏側:雨樋、杉の枝、杉の落葉、地面、もみの木(葉)

空間線量率:13~15μSv/h
表面線量率:20~170μSv/h

スライド16(動画 Part 3/8 06:16~07:01)

「屋根、雨樋の除染」






①除染準備(ポリイオン水注入) ②屋根の除染(高圧水洗)
雨樋(裏):最後に高圧水洗

スライド17(動画 Part 3/8 07:01~05:13)

「屋敷前庭の除染」





ポリイオン溶液を散布
コンクリート叩きとの境界が汚染レベルが高い (雨水が樋から落下するため)
雨水ピット:65kcpm 土壌を剥離除去
剥離作業

スライド18(動画 Part 3/8 07:01~08:22)

「屋敷裏の除染」



屋敷の裏側は、土壌、草地を剥離除去
草地(スコップで漉取り) 除去前:全面15kcpm~30kcpm 除去後:全面 <6kcpm

もみの木:伐採 上方向が高い

スライド19(動画 Part 3/8 08:22~08:44)

「屋内線量率を下げるためには、屋敷周囲の木々の伐採、剪定が必要」





杉の枝打ち、もみの木伐採、花壇:剪定(常緑樹)
周囲の樹木からの放射線の寄与が大きく、屋内 の線量率は床より天井が20%から50%高い

スライド20(動画 Part 3/8 08:44~09:33)

「除染による屋内線量率の変化」




スライド21(動画 Part 3/8 09:33~10:10)

「ビニールハウスの除染」




・10mx4mにポリイオン溶液を散布(5月20日)
・乾燥後剥離(5月26日)
除去率: 89%~93%

スライド22(動画 Part 3/8 10:10~10:41)

「ビニールハウス(畑)土壌中のセシウムの深さ方向の分布」




・ ビニールハウス(畑)の土壌中のセシウムの90%は3cm深さまでに留まって いる。
・ ポリイオン溶液により固化した土壌は、0.5~1cm程度であり、その下は溶液 と土が混じっている状態である。
・ ポリイオン溶液を散布することで、土壌剥取り時のセシウムの飛散は防止されている。

スライド23(動画 Part 3/8 10:41~11:52)

「牧草地の除染」




ポリイオン溶液で草の根まで固定化されており、剥取りが 容易(3cm~4cm厚)
除去率= (43-2.65)kcpm/43kcpm 23 = 94%

スライド24(動画 Part 3/8 11:52~12:25)

「水田の除染」




稲株の有無によってバラツキがある。土壌の除去は 稲株も一緒に除去することが必要。
除去率 = (16-2.5)kcpm/16 kcpm = 85%
           = (16-5)kcpm/16 kcpm = 69%

スライド25(動画 Part 3/8 12:25~13:27)

「除染に伴う土壤、草等」




廃棄土壌等の表面線量率は、周辺の杉林の枯葉等の表面線量 率15~30 μSv/hと比べて50%程度大きい。

スライド26(動画 Part 3/8 13:27~動画 Part 4/8 00:51)

「廃棄土壤管理処分場(全体イメージ)」




・ベントナイト中でのセシウムの300年間の移動距離は0.1mm
 ⇒ 数mmのベントナイト層を設ける事でセシウムの閉じ込めが可能。
・排水中のCs-137濃度を連続モニターで監視
・排水中のCs-137濃度が基準を上回った時には、ゼオライト吸着塔などを用いて排水を処理
・覆土を100cmすれば、放射線量は0.0001μSv/h以下

学習会・田中俊一先生「福島における除染のあり方について」2/8 インデックス

こちらの動画のインデックス。

スライド5(動画 Part 2/8 00:56~01:01)

「環境への放射能放出と放射能除去の必要性について」(タイトル)

スライド6(動画 Part 2/8 01:01~02:56)

「放射能と放射線」


放射能は電灯 放射線(γ)は光
137Csはガンマ線(667KeV)を放出して137Ba(安定)に変換
☆放射能(ベクレルBq):放射線を放出 Cs137、1Bqは毎秒1回崩壊し、その度に1個のガンマ線を出す。

スライド7(動画 Part 2/8 02:56~05:43)

「放射線と被ばく」


ガンマ線が体と衝突して、一部のエネルギーが吸収され、そのことによって人体が受けるダメージの量(シーベルト:Sv)

スライド8(動画 Part 2/8 05:43~07:31)

「環境へ放出された放射能と放射線量分布」


文部科学省及び米国DOEによる放射線モニタリングの結果
事故語1年間の推定積算放射線量

スライド9(動画 Part 2/8 07:31~12:01)

「公衆の放射線被ばく量の基準」

緊急時被ばく状況
我が国の原子力防災指針では、50mSv以上の被ばくの可能性がある場合は、屋内待機とされており、20km圏内の避難、30km圏内の待機はこの指針に基づいている。

現存被ばく状況
ICRPは、緊急避難区域から外側にありながらも、放射能に汚染された環境で生活する場合には、被曝量が年間1~20mSv/年の範囲に収まるようにする目安(参考レベル)を提案し、長期的には1mSvを目指すべきとしている。
原子力安全委員会は、20mSvを採用。その結果、飯舘村などの計画的避難区域は、来年3月11日まで現在の地に留まって生活を続けた場合、積算線量が20mSvを越えることになるという予測に基づいて避難の判断がなされている。避難はしてないが、福島市や郡山市も通常よりかなり高い放射線量が観測されているので、現存被ばく状況にある。

計画的被ばく状況
平常時に放射性物質の管理ができている場合で、公衆の被ばく量は1mSv以下にすること。

スライド10(動画 Part 2/8 12:01~動画 Part 3/8 00:17)

「避難区域の放射能除去の必要性」

飯舘村の放射能汚染の状況
・飯舘村のCs-137(半減期30年)、Cs-134(半減期2年)による土壤等の汚染は、大部分の地域で国の定めた耕作制限の限度5000ベクレル/kgを越えている。
・飯舘村の長泥での平成24年3月11日までの一年間の積算線量は、それぞれ91.1mSvと推定されている。
・国は年間20mSvを基準として、飯舘村では20mSvを越える可能性があるとして計画的避難区域に指定し、住民に避難を求めている。

住民が村に復帰し、生活できる条件
・年間の被ばく線量が1~20mSv範囲であること。
・耕作、牧畜等を行うためには、セシウムによる土壌汚染を5000ベクレル/kg以下にすること。

住民が村に復帰し、生活するために成すべきこと
・住民が村に復帰し、生活できる条件を達成するためには、住居、田畑、山林等の放射能を除去し、放射能濃度を下げることが必要である。
・土壌等の放射能汚染は、Cs-137(半減期30年)、Cs-134(半減期2年)によるものであり、核種崩壊による自然の減少はほとんど期待できない。チェルノブイリの例をみても、降雨等によるセシウムの減少は、ほとんど期待できない。
・従って、放射線量率や土壌等の放射能濃度を下げて、住民が村に復帰し、生活できるようにするためには、セシウムを積極的に除去する必要がある。