2011年8月7日日曜日

田中俊一氏講演スライド「放射能に汚染された土壤、瓦礫等の処分」

第四回原発対策国民会議における田中俊一氏の講演スライドより

スライド29

4.放射能に汚染された土壤、瓦礫等の処分

現実に合わない廃棄物処分に関する国の指針は、処分の障害

スライド30

廃棄物処理処分に関する安全確保の当面の考え方
原子力安全委員会(6月3日)

処理
・処理施設の周辺住民の被ばくは1mSv/y以下にすること。
  ⇒ 除染を行っても福島県の住民の被ばくを1mSv/y以下にすることは不可能な状況
・処理作業者は1mSv/y以下、電離則を遵守して被ばく管理をすること。
  ⇒ 現状で、この条件は満足することは不可能で、処理は実施できない。
・排気・排水濃度限度以下であることを確認すること。
  ⇒ 校庭に埋めた場合は管理してない。
処分
・処分した後(管理期間終了後)のめやすは、10μSv/y。
  ⇒ 管理期間は決めない?
  ⇒ 校庭に埋めた土壌は管理しないか、管理期間終了のどちらか。
       後者であれば、10μSv/y はまもることは不可能。
再生利用
・クリアランスレベル(100Bq/kg)以下、10μSv/y以下。
  ⇒ 避難区域からの持ち出し品のスクリーニングレベルは、10万cpm(表面400Bq/cm2相当)と相容れない
  ⇒ 市場流通前の基準以下とすれば、希釈効果を認めている今の基準より厳しく、実質的に再生利用は不可能。

スライド31

福島県内の災害廃棄物の処理方針
環境省(6月23日)

焼却灰、不燃物
・8000Bq/kg以下である主灰は、一般廃棄物採集処分場(管理型最終処分場)で埋設可能。
  ⇒ 廃棄物の放射能濃度の確認は、現地のバックグランドレベルが高くて実質的に不可能
    (時間とコストをかければ可能)
・10万Bq/kgを越える場合は、放射線を遮へいできる施設で保管。国によって処分の安全性が確認されるまでの間、一次保管。
  ⇒ 大量の廃棄物を保管できる場所はない。したがって、処理できない。
再生利用
・安全委員会と同じ
その他
・焼却、埋立処分、再生利用については、施設の排気、処分場の排水等について適切かつ定期的な放射能濃度の測定。
・焼却灰を保管する量や放射能濃度を記録
  ⇒ 一般廃棄物処理場を放射性廃棄物処理施設と同じ考え方で扱うことで、誰が事業主体となるのか。許可は誰がどのように出すのか不明(環境省?)
・作業者には電離則を適用1mSv/y以下。
  ⇒ 処理は不可能。一般住民は子供も含めて1mSv/y以上でもよいということとの矛盾。
・施設の管理主体等については、民間業者の管理処分施設もありうる。
  ⇒ 放射性廃棄物であれば、長期の安全確保を含めて国(または、県、自治体)が責任をもつべき。

スライド32

現実(緊急時)に合った対応が必要

• 福島県を汚染している核種としては、137Csと134Csを考慮すればよい。
• ほとんどの地域で汚染除去によって排出される廃棄物濃度は、10万Bq/kg以下である。廃棄物濃度は地域ごとのスクリーニングが現実的である。
• 廃棄物の種類は、多様であり混在しているので、放射能濃度のスクリーニングは極めて困難で、分別効果はコスト高となるだけである。
• 放射性廃棄物は、各市町村で数百万トンになる。福島県全域では数千万トンか?
• できるだけ速やかに除染を行う必要がある。既に、大量の廃棄物が排出されており、福島県はパニック状況。
• 他の県でも下水処理施設の汚泥を最終処分する場所がない。最終処分場がなければ、いづれは問題になる。


既存の考え方、既存の基準・規則は現実に合わない。廃棄物の分別、縮減、再利用の考え方は、一旦捨てることが必要。

スライド33

国は、福島県及び自治体と協力して、放射能除染の前提となる放射性廃棄物の管理型処分場(トレンチ型)の実現を図る責任がある!

・土壌、草、樹木、コンクリート屑、汚泥など、除染をすれば廃棄物がでるので、これを集積して安全に処分できる場所の確保が必要である。
・瓦礫、除染廃棄物のセシウムの濃度はほとんど10万Bq/kg以下であり、トレンチ型の放射性廃棄物場であれば処分可能。
・放射性廃棄物は、放射能が減って安全になるまでは管理処分するのが鉄則である。
・管理処分場で常に放射能の監視を続ければ、安全は担保できる。特に、セシウムはベントナイトやゼオライトに吸着されると動かないので、管理が容易である。

茨城県東海村では、20年ほど前に我が国最初の試験用原子力発電所を解体し、放射能の低いコンクリート等をトレンチ型と呼ぶ処分場に埋めた実績がある。
村上村長のメッセージ
「私は原子力についての素人でありますので確たる事は申し上げられませんが、十分に研究された後実施された方法であることから何ら懸念するものはございません。ただ、私共地元民としては、埋設以後十分な期間モニタリングしてくれることを望んでおり、そのことで安心が得られるものと思っております。望んでいることは、このことのみで不安は全くございませんと云えます。」

スライド34

「セシウムに汚染した廃棄土壌等の管理処分場」


・ベントナイト中でのセシウムの300年間の移動距離は0.1mm
  ⇒ 数mmのベントナイト層を設ける事でセシウムの閉じ込めが可能。
・排水中のCs-137濃度を連続モニターで監視
・排水中のCs-137濃度が基準を上回った時には、ゼオライト吸着塔などを用いて排水を処理
・覆土を100cmすれば、放射線量は0.0001μSv/h以下

スライド35

「実績のある埋設処分場(東海村)」


①地下水の少ない場所に、
②遮水性及び閉じ込め能力の高い土(粘土など)で囲んで、
③十分な厚さの土砂で覆う。
④放射性物質の地下の挙動をシュミレーションで予測するとともに、
⑤周りへの影響が無いことを十分な期間モニタリングする。

セシウムは、土壌中の粘土成分と結合し、動きは非常に緩慢な性質に着目

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