2011年8月7日日曜日

田中俊一氏講演スライド「福島県の汚染の実態」

6月3日(金):福島大学行政政策学類が田中俊一氏を招いて「福島における放射能除染のあり方について」(リンク先youtube)という学習会を開催。
7月6日(水):原発対策国民会議が第四回の開催時に田中俊一氏を招いて「周辺放射能対策の重要課題」について協議。

第四回原発対策国民会議における田中俊一氏の講演スライド(リンク先pdf)中、6月3日の学習会に出ていない情報を抜粋。

スライド1

「環境へ放出された放射能除去の必要性と課題」

1.福島第1原発事故により放出された放射能
2.飯舘村長泥地区での放射能除染試験
3.福島県の汚染の実態4.放射能に汚染された土壌等の集積処分場
5.その他課題
① 食物摂取基準値
② 被ばく線量基準の決め方、適用
③ 住民に対する適切な発信

国(政治)が取組むべき緊急課題

スライド5

「現存被ばく状況にある地域(福島市、郡山市、二本松市等の中通り)の放射能汚染除染の必要性」

汚染の状況

・計画的避難区域ほどではないが、市街地、道路(コンクリート)、側溝、花壇、芝生、庭、屋根など
が広範囲に汚染し、空間の放射線量は年間数mSv~10数mSvのレベルである。

汚染除去の必要性

・年間20mSvを基準とし、空間線量率を3.8μSv/hを目安にしたが、ICRPのは汚染除去の努力を
して年間1mSvを目指すべきとしており、被ばく線量を下げる努力は国の責任である。
・特に、幼児・子供の被ばく線量は、最低でも成人の3分の1以下にするのが国際的合意である。
(18歳未満は、放射線管理区域での作業は許可されていないことも考慮すべき)
・住民に放射線被ばくに対する深刻な心配とパニックを引き起こし、その状況は極めて懸念される状況にある。特に、放射線被ばくの影響ついての国の説明が一貫性を欠いていることに加えて、多くの専門家の意見がバラバラで、住民の不信は頂点に達している。
年間100mSv以下、あるいは20mSv以下は、健康影響がないという説明は、科学的正確さに欠き、住民の不信を増加させるだけであり、放射線量を住民とともに下げる努力をしながら、放射線被ばくに関する住民との対話ができる状況を取り戻すことが重要で、それ以外に対話の道を開くことは不可能。

スライド20

「3.福島県の汚染の実態」

森羅万象は高い濃度の放射能に汚染されていることを認識する必要がある

スライド21


(牧草地の)土壌層には放射性物質はほとんど存在しない。

草地は、草の根元と土の表面に大部分のセシウムが留まっているので、これを丁寧に薄く剥ぎ取る。

杉や広葉樹の葉や枝にセシウムが取り込まれている。これは、水洗いしても落ちないので、できるだけ枝払いをする。

スライド22


スギの枝の放射能は、時間とともに内部に移動するので、早めに伐採することが望ましい

スライド23

「学校周囲の放射線量率」


校庭を安心して利用するためには、放射線量率を下げることが必要であり、校庭の土壌だけでなく、周囲の土手や樹木の放射能を除去する必要がある。

埋設地表面:0.25μSv/h 1m:0.5 μSv/h
ヒバ垣根・植込:1.4-3.7μSv/h
ジャングルジム:0.7-1 μSv/h
土手:3-5μSv/h

スライド24

「学校周囲の放射線量率」


校舎前のコンクリートからの放射線は、校舎内の放射線量に大きな影響を与えるので線量を下げるためには広い面積のコンクリートに付着している放射能を除去することが必要です。
コンクリートの割れ目には、周囲より多くの放射能が着いているので、これを丹念に取り除くことも必要であるが、こうした部分的な放射能は、被ばく線量にはあまり効かない。

表面:2-3 μSv/h 1m: 1.4-1.8 Sv/h
(割れ目):6-8μSv/h

スライド25

「学校周囲の放射線量率」


ベランダや屋上は教室との距離が近いので、校舎内での被ばく線量を下げるためには屋上やベランダの放射能も出来るだけ除去することが必要である。

屋根、雨樋
ベランダ3F:0.2-1μSv/h
屋上:0.6-1.6μSv/h
排水口:2.3μSv/h
コンクリート表面:2-2.4μSv/h

スライド26

「学校周囲の放射線量率」


プールの水は、放射能を取り除いてから排水し、プール底や壁、及び周囲の放射能を除染し、新しい水は循環しながら放射能(セシウム)を連続的に除去することで、遊泳可能にする。目標は海水浴場の基準である1リットルあたり50ベクレル以下。

屋根、雨樋の除染
常緑樹は深い剪定
プール周囲表面:1.5-2 μSv/h
プール側溝:6-8μSv/h

スライド27

「学校周囲の放射線量率」


校舎の裏側の土壌や叢に沈着している放射能は、校舎内の放射線量に大きな寄与があるので、これを丹念に取り除くことが必要である。

校舎裏:5 μSv/h
体育館の裏手表面: 33μSv/h
校舎裏(給食室裏)枯草: 2.5μSv/h

スライド28

「幼稚園周囲の放射線量率」


幼稚園の玄関の敷石には、グランドと比べると数倍の放射能が付着している。特に溝の部分は倍ぐらいである。
幼稚園内の放射線量をより下げるためには、敷石の放射能や屋根・雨樋などの放射能、それにグランド周囲の常緑樹の枝払いが必要である。

(敷石):1.9μSv/h
(敷石へり):3.0μSv/h

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