2011年6月25日土曜日

学習会・田中俊一先生「福島における除染のあり方について」3/8 インデックス

こちらの動画のインデックス。

※"除染"をキーワードに、検索から来てくださった方に申し上げます。このメモは2011年6月3日に福島大学で行われた田中俊一氏の「福島における放射能除染のあり方について」という講演を元に作成してあります。いささか旧聞に属しますので、除染の具体的な手法については

福島市ふるさと除染計画・除染マニュアルを策定しました | 福島市震災関連情報サイト

上記福島市HPの除染マニュアルを併せてご確認下さい。

スライド11(動画 Part 3/8 00:17~04:29)

「学校等のセシウム汚染除去の必要性」

汚染の状況
・校庭、通路、草むら(芝生)、花壇、屋根、樹木(常緑樹)など、広範囲に汚染している。

汚染除去のレベル
・年間20mSvを基準とし、空間線量率を3.8μSv/hを目安にしたが、ICRPは汚染除去の努力をして年間1mSvを目指すべきとしている。
・特に、幼時・子供の被ばく線量は、成人の3分の1以下にするのが国際的合意である。(18歳未満は、放射線管理区域での作業は許可されていないことも考慮すべき)
・Csは様々なところに付着しており、放置すれば空気中に舞い上がるなど内部被ばくの原因となる。
・学校、幼稚園、保育所、公園などは、子供が長時間過ごす場所で、砂いじりなどで内部被ばくの可能性も高い場所であることから、徹底した汚染除去が必要である。
・文科省は、5月27日に今後一年間の学校等での被ばく線量が1mSv以下になるように除染を行うことを表明。

汚染土壌等の処理・処分
・天地返しは、Csの半減期が30年であることを考慮すると、その後数100年は天地無用の土地になり、それを担保することは不可能である。
・放射性廃棄物処分では、管理できない状況にすることが最悪の選択である。

スライド12(動画 Part 3/8 04:29~04:44)

「3.飯舘村長泥地区での放射能除染試験」

○家屋、屋敷の除染
雨樋、屋根の除染
・ポリイオン溶液を注ぎ、Csの飛散防止をしてから土、枯葉を除去
・屋根は全体を高圧水洗浄
屋敷表
・砂利(砕石)の土壤にポリイオン溶液を散布(Csの飛散防止)
・雨水ピットの土壤を剥離
・花壇の土、石苔は移植ベラで簡単に除去、また常緑樹については一部剪定
屋敷裏
・ポリイオン溶液を散布後、土壤を剥離(雨樋下近傍:3~4cm程度)
・裏手、横の草地は、1cm程度の厚さで杉林の境界まで剥離
・屋敷近傍の杉の枝、枯葉を林の奥に移動
・スポット状の汚染土壌を剥離
・家近傍の杉、もみの木を伐採、枝打ち
○ビニールハウス(畑)、水田、牧草地の除染
・一定の試験面積に複数の成分を持つポリイオン溶液を散布(5月20日)
・併せて、コアサンプリングによる分析用サンプルを採取
・剥離し、除染効果を確認(5月26日)

スライド13(動画 Part 3/8 04:44~05:13)

「測定器&測定方法」




GMサーベイメータ(写真)、NaI線量計(写真)、鉛コリメータ3mm厚(写真)
☆Bq/kgからBq/m^2への換算
土壤、砂の比重は、1.0~1.5と仮定すると3cm厚さでは、1Bq/kg=30~45Bq/m^2
・田畑の作付け制限値(取込率10%)
→5000Bq/kg(=1.5×10^5~2.25×10^5Bq/m^2)
・GMサーベイの測定値から、Bq/m^2への換算係数
→200cpm当たり0.4Bq/cm^2

作付制限値に対する放射能除去の目安
 5000Bq/kg:7500cpm~11250cpm

スライド14(動画 Part 3/8 05:13~05:51)

「家屋周囲の線量&放射能(除染前)」




スライド15(動画 Part 3/8 05:51~06:16)

「民家周囲の線源」


屋敷表・横側:屋敷杉、草地、母屋(屋根、雨樋)、物置・牛舎(屋根、雨樋)、車庫、前庭・花壇、畑
屋敷裏側:雨樋、杉の枝、杉の落葉、地面、もみの木(葉)

空間線量率:13~15μSv/h
表面線量率:20~170μSv/h

スライド16(動画 Part 3/8 06:16~07:01)

「屋根、雨樋の除染」






①除染準備(ポリイオン水注入) ②屋根の除染(高圧水洗)
雨樋(裏):最後に高圧水洗

スライド17(動画 Part 3/8 07:01~05:13)

「屋敷前庭の除染」





ポリイオン溶液を散布
コンクリート叩きとの境界が汚染レベルが高い (雨水が樋から落下するため)
雨水ピット:65kcpm 土壌を剥離除去
剥離作業

スライド18(動画 Part 3/8 07:01~08:22)

「屋敷裏の除染」



屋敷の裏側は、土壌、草地を剥離除去
草地(スコップで漉取り) 除去前:全面15kcpm~30kcpm 除去後:全面 <6kcpm

もみの木:伐採 上方向が高い

スライド19(動画 Part 3/8 08:22~08:44)

「屋内線量率を下げるためには、屋敷周囲の木々の伐採、剪定が必要」





杉の枝打ち、もみの木伐採、花壇:剪定(常緑樹)
周囲の樹木からの放射線の寄与が大きく、屋内 の線量率は床より天井が20%から50%高い

スライド20(動画 Part 3/8 08:44~09:33)

「除染による屋内線量率の変化」




スライド21(動画 Part 3/8 09:33~10:10)

「ビニールハウスの除染」




・10mx4mにポリイオン溶液を散布(5月20日)
・乾燥後剥離(5月26日)
除去率: 89%~93%

スライド22(動画 Part 3/8 10:10~10:41)

「ビニールハウス(畑)土壌中のセシウムの深さ方向の分布」




・ ビニールハウス(畑)の土壌中のセシウムの90%は3cm深さまでに留まって いる。
・ ポリイオン溶液により固化した土壌は、0.5~1cm程度であり、その下は溶液 と土が混じっている状態である。
・ ポリイオン溶液を散布することで、土壌剥取り時のセシウムの飛散は防止されている。

スライド23(動画 Part 3/8 10:41~11:52)

「牧草地の除染」




ポリイオン溶液で草の根まで固定化されており、剥取りが 容易(3cm~4cm厚)
除去率= (43-2.65)kcpm/43kcpm 23 = 94%

スライド24(動画 Part 3/8 11:52~12:25)

「水田の除染」




稲株の有無によってバラツキがある。土壌の除去は 稲株も一緒に除去することが必要。
除去率 = (16-2.5)kcpm/16 kcpm = 85%
           = (16-5)kcpm/16 kcpm = 69%

スライド25(動画 Part 3/8 12:25~13:27)

「除染に伴う土壤、草等」




廃棄土壌等の表面線量率は、周辺の杉林の枯葉等の表面線量 率15~30 μSv/hと比べて50%程度大きい。

スライド26(動画 Part 3/8 13:27~動画 Part 4/8 00:51)

「廃棄土壤管理処分場(全体イメージ)」




・ベントナイト中でのセシウムの300年間の移動距離は0.1mm
 ⇒ 数mmのベントナイト層を設ける事でセシウムの閉じ込めが可能。
・排水中のCs-137濃度を連続モニターで監視
・排水中のCs-137濃度が基準を上回った時には、ゼオライト吸着塔などを用いて排水を処理
・覆土を100cmすれば、放射線量は0.0001μSv/h以下

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