廃炉作業の随時評価重要 田中原子力規制委員長インタビュー | 東日本大震災 | 福島民報 2013/01/25 11:19
“ 原子力規制委員会の田中俊一委員長(68)=福島市出身=は24日、福島民報社のインタビューに応じ、東京電力福島第一原発の安全対策について、廃炉作業の進行に併せた随時の監視・評価が重要との見解を示した。規制委が策定中の過酷事故対策を盛り込んだ新安全基準は「適用対象外」と言及した。”
※福島民報2013年1月25日4面に掲載された記事。質問と回答部分がweb上に無いのでメモ。
“ 福島民報社のインタビューに応じた原子力規制委員会の田中委員長は東京電力福島第一原発の原子力災害対策重点区域の範囲について「判断には時間がかかる」とし、設定の在り方を県と協議する意向を示した。福島第二原発の再稼働については「住民の意向から困難」との考えをあらためて語った。
―福島第一原発の安全対策への考えは。
「廃炉作業中の原子炉では、七月の施行を目指している原発の安全基準は当てはまらない。廃炉作業のリスクを減らすために特定原子力施設に指定し、安全確保を評価・監視する態勢にある。一番の課題は使用済み燃料で、リスクが少ない地上に早く降ろさなければならない。将来的には溶融した燃料の取り出しもあり、外部に放射性物質が出ないよう設備対応を施し作業することになる。水を含めた廃棄物の安全管理も課題だ」
―福島第一原発の安全基準はどう進めるのか。
「廃炉措置を進めるかについて具体的な計画を評価し、不完全な部分がないかチェックする。随時の安全監視を続ける。明文化して『こうしなさい』とすれば作業が硬直化し、進まない懸念がある」
―安全対策でハード整備の必要性は。
「建物が損壊しており、放射性物質が出ないよう密封性を確保すべきだ。ただ、不必要な安全について求めれば廃炉作業が遅れ、リスクが残り続ける。福島第一原発に関しては総合的にリスクを下げる規制の在り方を考えなければならない」
―原子力災害対策指針で、福島第一原発の原子力災害対策重点区域の範囲が示されていない。
「リスクを考慮し、対応を打ち出すのには時間がかかる。重点区域の設定は、原子炉が稼働していることが前提。その考えを取り入れるべきかを議論しなければならない。他の原発と横並びが良いとは思えない。県と相談し、住民の防災としてあるべき姿を探る」
―福島第二原発の再稼働に対する見解は。
「再稼働は技術的には可能だと思うが、県や市町村、住民の意向から現実的には困難だろう。施設は津波で痛んでいる部分の復旧工事が十分に進んでいない」
―廃炉に向けた作業は三十~四十年といわれているが、国が集中投資すれば短縮できるとの声もある。
「早いことが望ましいが、投資だけで簡単に技術開発が進むものではない。また、廃炉に関わる作業員の確保も課題だ」”