2012年10月8日月曜日

原子力規制委 田中委員長 インタビュー

原子力規制委 田中委員長 インタビュー 再稼働手続き白紙 ストレステスト採用せず 「新基準」10ヶ月以内に 従来プロセスと決別 福島民報2012年9月25日2面

“ 原子力規制委員会の田中俊一委員長(福島市出身)が二十四日、共同通信のインタビューに応じ、再稼働に向けた原発の安全性の判断に関し「規制委の判断基準として安全評価(ストレステスト)を採用しない」と述べ、安全評価の結果は審査せず、今後十ヶ月以内に定める新たな安全基準に基づいて判断する方針を示した。”

福島第一、安定と言えない 一問一答

“ 原子力規制委員会の田中俊一委員長インタビューの一問一答は次の通り。

―今後定める原発の安全基準の課題は。

 「大飯原発の再稼働で使われた暫定基準がまったくだめではないが、東京電力福島第一原発事故や各事故調査委員会の報告を踏まえ、きちんと見直す。一番気にしているのは断層の問題。大飯は来月にも私たちの目で見て判断したい。防災計画がきちんとできていないと地元は原発の稼働に納得できないだろう」

―地震時に拠点となる免震棟の整備は時間がかかる。

 「再稼働に絶対必要な条件と、これは何年以内に設置しなさいという仕分けは出てくると思う」

―電力各社がまとめた安全評価(ストレステスト)の扱いは。

 「われわれの判断基準として採用はしないつもり。提出済みであっても規制委として良しあしを判断するつもりはない。それらを包含した形で安全基準をつくる」

―二次評価の扱いは。

 「安全性を向上させるためなら、電力会社が自主的にすればいい。大いにやってほしい」

―旧原子力安全委員会が示した、原発から三十キロ圏内を防災重点地域とする考え方は。

 「積極的に変える理由はない。ただ福島の事故を踏まえ、情報がちゃんと伝わっていないとか、病院の人が動けなくなるとか、子どもが不必要な被ばくをしたとか課題がいっぱいある。指針や計画は大急ぎでつくる」

―福島の緊急事態線源の解除は。

 「第一原発は安定しているとは言い切れない。使用済み燃料を取り出すまでは難しい。ただ首相が判断することだ」

―従来の規制機関の審査は長期化することが多かった。

 「規制委の議論は、必要あれば『徹夜ででもやって』と言うつもり。急ぐものは急ぐのだから。議論を尽くせるようにしたい。大飯の断層調査の結論もできるだけ早く出す」”

「最も厳しい規制目指す」田中氏 海外記者向けに講演

“ 田中俊一委員長は二十四日、東京都内で海外メディア向けに講演し「日本の原子力規制を世界で最も厳しいレベルにすることを目指す」と決意を述べた。記者からは「以前の経済産業省原子力安全・保安院と同じスタッフで、どう安全確保ができるのか」などと、実現性への厳しい指摘が相次いだ。
 田中氏は「個人の思いを反映できなかった制度の問題。(職員の)意気込み、気構えを大切にすれば十分にその疑問に答えられる」との認識を示した。
 また「大惨事を起こした東京電力は原発から撤退すべきか」との問いには「規制委として判断することはできない。今後、いろいろな議論の中でそういうケースはあるかもしれないが、今、要求することは考えていない」と述べた。
 政府による二〇三〇年代の原発ゼロ方針と使用済み核燃料再処理の継続が矛盾しているとの指摘には「個人的に考えはあるが、コメントは差し控えたい」とした。”